規格・薬局方

第二十改正日本薬局方の作成基本方針、試験法の導入とクリーンアナリシスを重視

PMDAが次期日本薬局方の作成方針を公表。10月30日には原案作成要領案の意見募集も開始し、締切は11月30日です。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は2026年10月19日、厚生労働省が10月9日付で発出した『第二十改正日本薬局方作成基本方針について』を掲載しました。対象地域は日本です。これは第二十改正日本薬局方の作成に向けた方針であり、規格本文の制定・施行ではありません。版は第二十改正を予定しますが、発効日、具体的な改正条文、移行期間は未確定です。現行版を直ちに置き換えるものではありません。

医薬品品質試験室とHPLCを表すイメージ。ゴシック体の『次期薬局方の作成方針』の見出し入り

方針は、保健医療上重要な医薬品の収載、最新技術の導入、国際調和、必要時の部分改正、透明性と利便性の向上を五つの柱とします。一般試験法では、日局未収載で汎用性のある試験法や欧米薬局方収載法の導入、既収載法と試薬・試液の見直し、参考情報の試験法の移行、環境や実験者への負担を下げるクリーンアナリシスを検討します。医薬品各条では確認・純度・定量法の更新、製法に依存する不純物の管理、試料量・溶媒量の低減などが挙げられています。ICH M7の日本薬局方への取込みやICH Q3Eへの考慮も検討事項です。

医薬品の品質試験室は、採用中の一般試験法と各条、試薬・溶媒使用量、不純物管理に関するSOPを一覧化し、今後示される個別の改正原案と比較できます。現時点で試験条件や規格値の変更を決める段階ではなく、各条・試験法の原案と最終的な告示本文を確認する必要があります。

【2026年10月30日追記】PMDAは『第二十改正日本薬局方原案作成要領(案)』を公開し、11月30日必着で意見を募集しています。公開案は、医薬品各条の原薬・製剤を主な対象とし、一般試験法にも可能な範囲で適用する、規格・試験方法の設定や医薬品各条原案の提出資料・作成方法を示します。PMDAによると、要領の考え方は今後の第十九改正日本薬局方の一部改正・追補にも原則適用されます。分析法や規格値の原案作成に携わる試験室は、試験項目、試薬量、実測値の裏付けと提出資料を案と照合して意見を出せます。これは意見募集段階の作成要領で、個別の試験法・規格値を変更する告示ではありません。

編集者の視点

今回の方針で重く見るのは、規格値そのものより、測り方の前提が静かに変わっていく点です。E&Lの現場では、抽出条件、ブランク、回収率、AET付近の不確かさの扱いで、同じピークでも結果の意味が変わります。試料量や溶媒量を減らす方向は環境・安全面で望ましい一方、微量成分では汚染、吸着、蒸発、ばらつきが相対的に大きくなります。だから今の段階で準備すべきは条件変更ではなく、現行法について「なぜその抽出条件で、なぜそのブランク管理で妥当と言えるのか」を説明できる記録の棚卸しだと思います。Q3Eへの考慮が進むほど、測る技術と同じくらい、判断の根拠を残す力が問われそうです。