化学構造式を無料で作成し、PNG・SVG画像として保存する
Chemlioraは、インストール不要でブラウザーから使える無料の化学構造式描画ツールです。構造式のフリーソフトを探している方も、登録せずに描画と画像保存を試せます。
まず結合・環・元素を選んで構造式を描きます。画像を保存するときは「書き出し」メニューから「PNG画像」または「SVG画像」を選びます。後で編集を続けたい場合は、「ファイル」メニューからJSONファイルも保存してください。
キャンバスに構造がないときの案内「構造を描いてみましょう」は、初めて開いたときだけ表示します。「ヘルプ → 起動時の案内」で、毎回表示するか、表示しないかに変えられます。この選択は、このブラウザーの中にだけ記憶します。
基本の描き方
- 左の結合・環ツールを選び、キャンバスをクリックします。元素は右の一覧で選べます。結合を既存の原子へ引くと、その原子が丸く強調されます。
- ポインターを原子に合わせてC・H・O・N・S・P・F・Iのキーを押すと、その原子の元素を直接変更できます(現在のツールはそのまま、Shift+LでCl、Shift+BでBr)。ポインターが原子の上にないときは、同じキーで元素ツールに切り替わります。選択ツールで原子を1つ選んだ場合も、C・N・Oなどのキーで元素を直接変更できます。Cl・BrなどはEnterを押して元素記号を入力します。変更は「元に戻す」で取り消せます。
- 置換基は、Gを押してからM(メチル)・E(エチル)・P(フェニル)・B(ベンジル)・O(Boc)・T(tert-ブチル)・C(CO₂H)・R(CO₂Me)・A(CONH₂)・N(CN)・I(NO₂)・S(SO₃H)を押すと選べます。ポインターを原子に合わせていれば、その原子にすぐ付きます。
- 選択ツールで移動し、間違えたら「元に戻す」を使います。ドラッグ中にキャンバスの外へ出ても、指やマウスを離すまで操作できます。
構造テンプレート
左の「構造テンプレート」ボタンで一覧を開き、テンプレートを選んでから、キャンバスまたは原子をクリックして置きます。一覧の上の分類のタブを選ぶと、その分類だけが表示され、スクロールせずに探せます(「すべて」で全部を並べます)。選んだ分類は次回も記憶されます。カードにマウスを載せると、説明の全文が出ます。
- 炭素環:シクロプロパン〜シクロオクタン、ベンゼン。
- 多環芳香族:アントラセン、フェナントレン、テトラセン、ペンタセン、ピレン、ペリレン、コロネン、クリセン、トリフェニレン、ベンゾ[a]ピレン、[5]ヘリセン、フルオレン、アズレン、アセナフチレン、フルオランテンなど。
- 縮合脂環:インダン、テトラリン、デカリン、ステロイド骨格(ゴナン。立体は付きません)。
- 複素環:ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾールなど。飽和複素環:ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、アゼチジン、オキセタン、アジリジン、エポキシドなど。
- 縮合複素環(二環):インドール、プリン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、クマリンなど。縮合複素環(三環):アクリジン、カルバゾール、フェナジン、1,10-フェナントロリン、キサンテンなど。
- 官能基・アルキル基・保護基:メトキシ、アセチル、トリフルオロメチル、ビニル、アリル、エチニル、プロピル、ブチル、TMS、TBS、Boc、Cbz、Ms、Ts など。置換基は、左の置換基の一覧からも選べます。
- 糖類:β-D-グルコピラノース、α-D-グルコピラノース、β-D-ガラクトピラノース、α-D-マンノピラノース、β-D-キシロピラノース、α-L-フコピラノース、N-アセチル-β-D-グルコサミン、β-D-グルクロン酸、β-D-リボフラノース、2-デオキシ-β-D-リボフラノース、β-D-フルクトフラノース、β-D-アラビノフラノース。
糖類のテンプレートは、キャンバスの空いている場所にだけ置けます(原子や結合には付けられません)。環は平らな六角形(ピラノース)または五角形(フラノース)で、OH や CH₂OH のくさび(上)と破線(下)で立体を表します。この立体は MOL・SDF・SMILES に書き出され、「構造を整える」でも保たれます。
縮合環は、キャンバスまたは原子に配置します(既存の結合には重ねられません)。単環のテンプレート(ベンゼンなど)は、既存の結合をクリックして融合できます。
結合の次数
単結合ツール(1)で既存の結合をクリックするたびに、単結合 → 二重結合 → 三重結合 → 単結合の順に変わります(原子価の都合で上げられない次数は飛ばし、くさび・波線・芳香族の結合は、まず通常の単結合に戻ります)。二重結合ツール(2)・三重結合ツール(3)で既存の結合をクリックすると、その次数にそろえます。元に戻すで取り消せます。
結合の立体表示
波線結合ツール(Q)は、立体配置が不定または混在する単結合を波線で描きます。MOL・SDF(結合の立体表示4)とCDXMLに保存・読込でき、CDXは読込のみです。SMILES・IDコードなどの立体情報には反映されません。二重結合の立体が不定の場合は、結合のプロパティで幾何異性を「不定(交差)」にすると、2本の線が交差した表示になり、MOL・SDFの結合の立体表示3として保存・読込できます(CDXMLには保存されません)。
立体ラベル(R/S・E/Z)
右下の「R/S」ボタンで、くさび・破線から判定した(R)・(S)、擬似不斉の(r)・(s)、未指定の立体中心(?)、鎖の二重結合の(E)・(Z)を表示します。既定はオフで、表示の選択だけをこのブラウザーに保存します。波線の中心と環内の二重結合は表示しません。ラベルをオンにするとSVG・PNGにも入ります。不要なときはオフにして書き出してください。200原子を超える構造は省略し、注記との重なりや金属錯体・高分子の判定には限界があります。
結合の線と二重結合の位置
結合ツールに、太線・破線・中空くさびを追加しています。既存の結合をクリックして適用し、もう一度クリックすると通常の表示に戻します。中空くさびは手前向きの立体結合で、再度クリックすると実線くさびになります。プロパティでも線の種類と立体方向を選べます。太線と破線は表示の違いで、結合次数は変えません。破線の結合は単結合として扱います。
二重結合はプロパティで、自動・中央・左・右を選べます。左右は結合の始点から終点に向かって決まり、選択の反転では入れ替わります。芳香族の結合は再描画時に単結合・二重結合が組み直されるため、単結合になった結合では位置の指定が外れます。
芳香環の円表示
右下の円表示ボタンで切り替えます(既定はオフ)。結合すべてに芳香族の印がある六員環だけを円で表示し、結合次数や予測は変えません。五員環には表示しません。SVG・PNGにも入り、選択部分の書き出しでは環の原子をすべて選ぶ必要があります。履歴の小さな画像には反映されません。
水素結合・配位結合などの接触線
高度の反応ツールにある点線・破線の接触は、分子の結合に数えない注釈です。分子式、SMILES、MOL、各種の予測には入りません。端点は原子・結合の中点・孤立電子対に吸着して結び付き、対象を動かすと追従します。計算に含める結合は通常の結合で描いてください。
妥当性の印の見方
「構造を整える」の隣の「妥当性」で表示を切り替えます。原子価の上限超過と芳香環の不整合は赤い実線、電荷の偏りは赤い破線で示します。印にポインターを重ねると理由が出ます。件数はボタンに表示し、問題が見つからないときは緑のチェックになります。構造は自動では直しません。印はSVG・PNGに含みません。
印は目安で、印がないことは正しさの保証ではありません。水素の不足は検査せず、原子が300個を超える構造は省略します。イオンの電荷は意図どおりの場合もあるため、破線は確認を促す表示です。円表示と妥当性表示の選択は、このブラウザーのlocalStorageだけに保存し、外部へ送りません。
CDXMLでは太線・破線・中空くさび・二重結合の位置も保存できます。接触線は矢じりのない破線で出力し、読み戻すと破線になります(点線との区別は保ちません)。ChemDrawでの表示と左右の向きの解釈は未確認です。円表示と妥当性表示は画面の設定なので、構造データとは別です。
妥当性の修正案を選ぶ
妥当性の確認項目があるときは、「修正案」ボタンか赤い印をクリックすると、理由・候補・「場所を選択」を一覧できます。候補を押すまで構造は変わりません。Escで閉じます。選んだ修正は1回の「元に戻す・やり直し」で取り消し・再実行できます。
候補には、結合次数を1つ下げる、電荷を変更・取り除く、末端のCまたはHを1個取り除く、対イオンを追加する、芳香族の印を外す、二重結合を並べ直す操作があります。コピーで検査し直して対象の指摘が消え、異常が増えない候補だけを出します。化学的に意図した構造になることは保証しないため、修正内容を確認して選んでください。
対イオンはCl⁻またはNa⁺を描画の右側に追加します。実際の試料の対イオンを特定する機能ではありません。芳香族の印を外すと、結合を共有する隣の環の円表示も消える場合があります。候補がない項目や、検査の上限を超える候補は、自分で構造を見直してください。
立体の補助(R/Sの指定とくさびの操作)
立体中心の原子を1つ選ぶと、原子のプロパティに現在の立体と「R にする」「S にする」「反転」が出ます。指定したR/Sになるよう、実線・破線くさびを入れ替えるか、くさびを1本追加します。くさびがない場合は、環の外や末端につながる結合を優先します。原子の座標は動かしません。
R/Sの指定はOpenChemLibのCIP判定に基づきます。疑似不斉(r/s)、軸不斉、原子200個超は対象外です。波線のある中心や、指定どおりのくさびを付けられない中心では、理由を表示して変更しません。くさびを付ける位置はChemDrawなどの慣習と一致するとは限りません。出力した構造の立体も確認してください。
「構造・解析 → 立体を反転(鏡像体にする)」は、実線と破線のくさびを入れ替えます。原子の選択がなければ全体、選択があれば選んだ原子を始点とするくさびだけが対象です。一部の中心だけを反転すると、分子全体の鏡像体になるとは限りません。座標、二重結合のE/Z、軸不斉は変更しません。
「立体の印(くさび)を消す」は、同じ範囲のくさびを通常の単結合に戻します。R/Sの指定、反転、くさびの削除は、それぞれ1回の元に戻す・やり直しに対応します。立体ラベルを表示して変更前後を確認すると便利です。
反応機構の曲がった矢印
高度の反応式ツールから、電子対(全形の矢じり)または1電子(片側の矢じり)を選び、始点から終点へドラッグします。矢印を1つだけ選ぶと、両端のハンドルで端点を、曲線の頂点のハンドルで曲がりを変えられます。プロパティでも種類と曲がり(−150〜150%)を設定できます。曲がった矢印は「反応式を自動整列」の反応矢印として数えません。
矢印の端点の結び付け
曲がった矢印の端点を原子・結合の中点・孤立電子対に吸着させると、その対象に結び付きます。対象を移動・回転・反転すると端点も追従します。矢印だけを動かすと結び付きを外します。対象を削除した場合は、その場所に端点を残して結び付きを外します。編集用JSONとコピー・貼り付けで参照を保ちます。S字曲線には対応しません。
孤立電子対の描き方
高度の「電荷と電子」で孤立電子対ツールを選び、原子をクリックすると結合から離れた向きに2つの点を追加します。点をクリックすると取り除けます(1原子につき最大4組)。回転・反転では向きも変わりますが、「構造を整える」や結合角の調整には追従しません。必要に応じて消して足し直してください。描画用の注釈で、価数・水素数・SMILES・IDコード・予測の値は変えません。
グリッドへの吸着と保存の互換性
右下のグリッドボタンは既定オフです。オンにすると、矢印の端点、+記号・条件テキストの配置、選択の移動を24単位の格子に合わせます。結合ツールで置く原子には使いません。選択の移動では、つかんだ対象の基準点だけを合わせます。選択はこのブラウザーのlocalStorage(chemliora-grid-snap)に保存し、外部へ送りません。
曲がった矢印と孤立電子対は編集用JSONに保存できます。古い保存データは引き続き読めますが、新しい項目を含むJSONは古い版で開けない場合があります。曲がりのハンドルや吸着の印はSVG・PNGに含めません。
タッチ・スタイラス・手書き認識
スマートフォン・タブレットでは、キャンバス上で2本指を広げる・狭めると拡大・縮小、2本指でドラッグすると表示位置が動きます(描きかけの操作は取り消されます)。「移動(手のひら)」ツールを選ぶと、1本指やマウスのドラッグでも表示位置を動かせます。ノートパソコンのトラックパッドのピンチ操作でも滑らかに拡大・縮小できます。
スタイラス(ペン)対応のタブレットでは、ペンを検出すると「ペン優先モード」になり、ペンで描き、指は表示の移動(1本指のドラッグ)と拡大・縮小(2本指)だけに使います。ペンが画面に触れている間や、離れた直後の指(手のひら)は無視します。ペンの消しゴム側で消去もできます。指でも描きたい場合は、「編集」メニューの「ペン優先モード」をオフにしてください。設定はこのブラウザーに記憶されます。
「手書き認識」ツール(ツールバーの鉛筆)では、ペン・指・マウスで描いた1本の線を、その場で構造に変換します。直線は単結合(長さと30°刻みの角度は自動で整います。端が既存の原子の近くなら、その原子につながります)、ジグザグの線は結合の連なり(最大8本)、閉じた線は環(三角形〜七角形はシクロアルカン、円はベンゼン)、ぐるぐると塗りつぶすとその下の原子と結合の消去になります。既存の結合をなぞると結合次数が上がります(単結合→二重→三重→単結合)。変換は「元に戻す」で取り消せます。そのほか、細い三角形の輪郭は実線くさび結合(尖った側が細い端)、細い側から太い側へ広がるジグザグは破線くさび結合、小さく規則正しい波線は波線結合になり、既存の結合の上に描くとその結合を置き換えます。既存の結合の隣に環を描くと、その結合を共有する縮合環になります。原子記号は、原子の近くに小さく書くと認識します(C、N、O、S、P、F、H、B、I、Cl、Br。「+」は電荷。「OH」は酸素になります)。置換基の略号(Me、Et、Ph、Bn、CN、NO₂、OMe、OEt、Ac、CF₃、CHO、NMe₂、Ts、Ms、TMS)は、つなぎたい原子のすぐ横(原子から結合長の半分ほど以内)に書くと、その原子につながります。文字は書き終えて少し待つと確定し、候補が表示されるので、違うときはタップして直せます。ただし文字の認識は手作りの見本との照合で、くせの強い字は読み取れないことがあります。認識は端末の中だけで行い、手書きのデータは送信も保存もしません。
モバイルでは、画面下部のカテゴリを選ぶとその種類の描画ツールだけが開きます。「元素」ボタンから元素・置換基・文字色を開き、元素を選ぶと自動的に描画画面へ戻ります。上部メニューは横にスライドできます。
お気に入りの構造
「編集 → 選択部分をお気に入りに保存」で、選択部分(選択がなければ全体)に名前を付けて保存します。「お気に入りを開く」で一覧を開き、表示中の場所の中央に貼り付けられます。名前の変更と、確認後の削除ができます。最大50件、1件400原子、全体で約1MBまでです。保存先はこのブラウザーのlocalStorage(chemliora-favorites-v1)だけで、外部へ送信しません。ブラウザーのデータを消すと失われます。ファイルへの書き出し・読み込みや端末間の同期はありません。
選択した構造の整列
「編集」の整列欄で、左・右・上・下揃え、左右・上下中央、左右・上下の等間隔配置を選べます。整列には2つ以上、等間隔には3つ以上の構造を選択してください。分子、括弧とその中身、反応式の要素を単位に平行移動します。分子や括弧の中身を途中で分けた選択では移動せず、全体の選択を案内します。等間隔は枠と枠のすき間を揃えます。原子ラベルや文字の幅は枠に含めないため、見た目に少しずれることがあります。移動したときだけUndoの履歴に残ります。
画像の書き出し設定とクリップボード
「書き出し」で全体または選択部分、余白、白または透明の背景、PNGの倍率(1〜4倍)を選べます。大きすぎる画像は倍率を下げるか、分けて保存してください。SVGテキスト、PNG画像、MOL、SMILESをクリップボードにコピーできます。ブラウザーがコピーを許可しないときは、ファイル保存を使ってください。クリップボードへの書き込みは、利用者の操作時だけです。余白・倍率・背景の設定は、このブラウザーのlocalStorage(chemliora-image-export)に保存し、外部へ送りません。
CDXMLで保存できる図形
CDXMLでは、反応矢印・曲がった矢印、+記号、条件テキスト、孤立電子対、高分子の括弧を読み込み・書き出しできます。エディター内の往復を確認していますが、ChemDrawでの表示は未確認です。矢印の結び付きなどを含む完全な再編集用には、JSONも保存してください。
3D構造・配座
「構造・解析 → 3D構造・配座…」で、描いた構造から配座を最大20個まで作り、MMFF94Sで最適化して相対エネルギー順に並べます。球棒・線・空間充填を切り替え、ドラッグで回転、ホイールやボタンで拡大・縮小できます。原子を順に2個・3個・4個クリックすると、距離・角度・ねじれ角を表示します。MOL(選択配座の3D)、XYZ、SDF(全配座とエネルギー)を保存できます。
配座探索は有限個の候補から行うため、最安定配座は保証しません。MMFF94Sは有機分子向けの気相の力場です。重原子60個以下が対象で、扱えない元素を含む場合は警告し、エネルギーを表示しません。未指定の立体中心・二重結合は任意の立体になります。計算は端末内のWorkerで行い、中止できます。初回は同じサイトから準備データを読み込み、構造を外部へ送信しません。
保存・書き出し
再編集する場合は「ファイル → JSONファイルを保存」。資料に使う場合は「書き出し → SVG画像/PNG画像」を選びます。
保存とプライバシー
描画とファイル変換はこの端末内で処理します。描画データはこのブラウザーに自動保存されます。ブラウザーのデータ消去や端末変更で失われるため、必要なデータはJSONで保存してください。別の端末へ移す場合もJSONを使います。
共有端末では終了前に「ヘルプ → 自動保存を消去・一時停止」を使い、画面を閉じてください。自動保存できない場合もJSON保存を利用できます。
対応形式
JSON、MOL、SDF、SMILES、CDXMLを読み込み・保存できます。CDXは読み込みのみです。入力ファイルは5 MB以下です。複数分子のSDFは、最大200件までの分子を格子状に並べて1つの図として読み込みます(原子と結合の上限を超える分と、読み取れない分子は除きます)。ファイル内の分子名(先頭行)は読み込み後の注意に一覧表示されますが、図には書き込みません。化学形式によって反応矢印・注記・括弧などを保持できないため、完全な再編集用にはJSONを使ってください。
3Dや量子計算などの拡張データを含むJSONは、この描画版では読み込めません。すべての化学ソフトとの完全互換は保証しません。
高分子は「高分子を生成」で重合反応・単独/共重合の種類・モノマー種類数を選び、モノマーを離して描画・選択してから再度生成画面を開きます。反応箇所と接続方向を選ぶと生成プレビューを確認できます。ランダム型は配列未指定の斜線、ブロック型はブロックごとの括弧と添字を描きます。ランダム型の斜線は選択ツールでドラッグして自由に位置を調整できます。生成した括弧を選択して生成画面を開くと、保存したモノマー構造と条件から再生成できます。再編集にはChemlioraのJSONで保存してください。現在、縮合重合の自動生成は2種類の交互繰返し単位に対応します。
名称・基本情報と試薬の検索
「構造・解析 → 分子の情報 → 試薬を探す…」で、「名称・基本情報」の試薬欄を直接開き、CAS番号を入力できます。メニューを開くだけでは送信しません。「PubChemからCAS番号の候補を取り込む」または「名称・InChIKeyを推定」を押したときだけ、表示中の構造のSMILESをPubChemへ送り、名称・InChIKeyと別名からCAS番号の候補を照合します。候補はチェックディジットを確認した番号ですが、主要な登録番号や目的の化合物とは限らないため、必ず照合してください。
画面を開くと、入力欄や操作ボタンへフォーカスが移ります。IRを含む予測画面はEscで閉じられ、メニューから開いた画面を閉じると、そのメニューのボタンにフォーカスが戻ります。HOMO・LUMOもEscで閉じられますが、計算中の誤操作を避けるため背景クリックでは閉じません。
メルク(Sigma-Aldrich)・富士フイルム和光純薬・東京化成工業・林純薬工業はCAS番号で製品を直接検索し、関東化学は同社のサイト内検索を開きます。Thermo Fisher Scientificのボタンは公式トップページへの入口で、CAS番号を送りません。検索ボタンを押したときだけCAS番号がリンク先の会社のサイトへ渡ります。当サイトからGoogleなどの検索エンジンへ検索を送るリンクはありません。各ページは新しいタブで開き、価格は取得・保存・表示しません。各社との提携や推奨を示すものではなく、リンク先の利用条件が適用されます。
IRスペクトル予測
構造を描いた後に「構造 → IRスペクトル予測」を選ぶと、主要吸収帯の予測グラフとピーク帰属を確認できます。グラフまたは表のピークを選ぶと、対応する原子や結合が描画画面で選択されます。ピーク表はCSVで保存できます。C=Oの位置は、試料状態のほか、環の大きさ(4員環・5員環のエステル、環状無水物、炭酸エステルなど)に応じて補正します。
試料状態
- 液体:既定の試料状態です。
- 溶液(約1〜10%):会合したO–Hに自由O–Hが少し共存します。
- 希薄溶液:自由O–H。
- 気相(孤立分子):水素結合がなく、C=Oが希薄溶液より高波数側、自由O–Hがさらに高波数側に現れ、アミンのN–Hは非常に弱くなります。NISTの気相スペクトルで調整した概算で、小分子の数十件にもとづく目安です。
- 固体:水素結合した固体の帯を想定し、C=Oの範囲を低波数側へ広げます。
波形の高さと幅
描画するIR波形には、NISTの実測スペクトルとの比較から求めた統計的な校正を含みます。帯の種類と試料状態で高さと幅を調整し、固体には液体・溶液と共通の倍率を使います。帯の位置と一覧は、この波形校正では変えません。内部の面積値は保持しますが、描画曲線の面積は変わるため、波形の面積を定量値として比較しないでください。個別の分子や固体では実測と異なる場合があります。
複素環とアミドの帯
単環で複素原子が1個のピリジン・ピロール・フラン・チオフェンは、対応する置換型について、環の水素の並びからC–H面外変角を見積もります。表にない置換型、縮合環、複数の芳香環、窒素が複数の環は一般範囲のままです。ピロール型N–Hは気相・希薄と液体・固体で位置を分け、N置換環には出しません。気相・希薄の鎖状第三級アミドのC=Oと、固体第一級アミドのC–N帯にも個別の規則を使います。確認した化合物は少なく、実測との一致を保証するものではありません。
ご利用上の注意
IR予測は2次元構造と化学環境の経験則による概算です。実測スペクトルや量子化学計算の結果ではなく、溶媒、濃度、温度、結晶状態、3次元配座、倍音などは計算しません。必ず実測値や文献値と照合してください。
EIマススペクトル予測
構造を描いた後に「構造・解析 → マススペクトル予測(EI)」を選ぶと、70 eVの電子イオン化を想定した参考スペクトルを表示します。分子イオン、同位体ピーク、結合開裂、中性脱離、転位候補を確認でき、ピークを選ぶと、推定した切断結合と、推定イオンの構造を表示します(下の「推定イオン構造」を参照)。表示する信頼度を絞り込み、表示中のピーク表をCSVで保存できます。
推定イオン構造
ピークを選ぶと、「ピークと結合開裂」の下に、そのピークのイオンとして推定した構造を描きます。ヘテロ原子には水素を添え、切断で結合を失った原子には赤い点を付けます(電荷とラジカルの位置は特定していません)。表示は、次の 3 種類です。
- 切断から描いたイオン:推定した切断結合を除いたときに残る断片のうち、ピークの質量・組成に合うものです。
- 分子イオン:分子全体を描きます。
- 推定候補:転位や中性脱離など、切断位置を記録していないピークです。生成物の組成に合う断片を、1〜2 本の結合の切断から探して描きます。実際の転位の機構を確かめたものではなく、同じ組成の候補が複数あるときは、その一つを描いて候補の数を示します。水素の移動を伴う場合は、水素移動前の断片を描きます。
低質量域の統計モデルによるピークには、特定の断片を想定していないため、構造を描きません。
ピーク表の「イオン」列には、各ピークの推定イオンを小さな図で示します(図を押すと、そのピークを選びます)。図が描けないピーク(統計モデルのピークなど)は「—」です。表の「根拠」欄は、要点だけを短く示します。全文は、マウスを載せたときの表示とCSVにあります。
分子イオンからの脱離位置の統計的な強度補正
C・H・N・Oに加え、F・Cl・Br・I・S・Si・Pを含む分子でも、m/z 81以上の分子イオンとM−kの脱離位置の強度を、構造の特徴から統計的に補正します。補正の前に決まったベースピークはこの処理の対象外です。分子イオンを補正するときは同位体ピークも同じ比で動かし、クラスターにベースピークがあれば全体を維持します。補正が適用されたときは警告を表示します。個別の分子では悪化する場合があり、特定の断片化経路の根拠はありません。補正で新しく加わるピークは信頼度「低」とし、推定イオン構造を表示しません。
低質量域の統計的な推定
m/z 12〜80の低質量域には、構造の特徴から統計的に推定した強度を加えます。C・H・N・Oに加え、ハロゲン・S・Si・Pを含む分子を学習したモデルを使います。個別の断片化経路の根拠はなく、これらのピークの信頼度は「低」です。参考表示で、精度は保証しません。低質量域のモデルを更新した結果、ベースピークの予測が以前の版から変わる場合もあります。
ご利用上の注意
EI-MS予測は2次元構造に対する経験則と限定的な参照検証に基づく概算です。装置条件、試料導入、異性体、立体化学、準安定イオン、すべての競合開裂を再現するものではありません。実測スペクトルやライブラリ検索の代替ではなく、化合物の同定、純度判定、規格適合の根拠には使用できません。必ず標準品、実測値、信頼できる文献・データベースと照合してください。
¹H NMR概略予測
単一の中性・閉殻の低分子(C、H、N、O、F、Cl、Br、I、Si、P、S)を描いた後に「構造・解析 → ¹H NMR概略予測」を選びます。CDCl₃・298 Kを仮定し、水素数、原子への対応、化学シフトの目安の範囲とその中点、限定的な分裂を示します。信号または表の行から該当する原子を強調でき、帰属表をCSVで保存できます。周波数と線幅は模式図の表示条件です。
これは構造からの概略予測で、実測精度は未評価です。表示は実測スペクトルではなく、構造同定や分析結果の判定の根拠には使わず、実測値や信頼できる文献と照合してください。
化学シフト
中心は、既定では「計算化学モデル」で求めます。これは、実測を使わずにオフラインで行った量子化学計算(B3LYP/6-31+G(d,p)、気相、機械学習ポテンシャル(UMA)で最適化した単一配座、約770分子。置換したチオフェン・フラン・ピロール、アゾール、ジアジン、ベンゾ縮合のヘテロ環を含みます)の化学シフトを、水素の化学環境ごとに学習した概算です。範囲は、計算内の検証誤差と0.35 ppmの大きいほうを目安幅にしたもので、確率的な区間ではありません。溶媒の効果、配座の平均、分子の振動は入っておらず、現時点の小分子の比較では、加算則より実測との差が大きいことがあります。計算を増やして改良中です。
「シフトの推定」で、従来の加算則(経験則)に切り替えられます。飽和炭素のCH₃・CH₂・CH、置換ベンゼン環、無置換のピリジンとチオフェン、鎖状アルケンのC–H、ハロゲン・硫黄・ケイ素・リンの隣のC–Hは、教科書に載る置換基の寄与(Shoolery型・Pretsch型の考え方)を足し合わせた暫定値で、これらに当てはまらない環境は従来の広い範囲の中点を返します。中心は経験則による範囲の中点で、置換基の寄与の一部は代表的な単純分子の値に合わせた未校正の暫定値です。出典を確認できていない公開実測値(nmrshiftdb2)との集計比較で傾向を確かめた段階で、独立した実測集合による評価は未実施です。計算が対応しない環境と交換性水素は、加算則や広い範囲で補い、中心位置を決められない環境は未推定と表示します。
分裂(多重線)
分裂(J値)と積分は、どちらのシフトの推定でも同じ規則で、J値はすべて未校正の例示値です。
鎖状の飽和炭素:環・不飽和結合・立体中心に隣接しない鎖状の飽和炭素は、隣接する飽和炭素の水素数からn+1則で分裂(二重線から七重線まで、J=7 Hz)を示します。末端CH₃–CH₂–Oと単純なO–CH(CH₃)₂も同じ一次近似で例示します。カルボニル炭素・酸素・飽和四置換炭素に結合する末端メチルは、隣接炭素に水素がない場合の局所的な一重線として表示します。
等価な水素のまとめ:構造の対称性で等価な炭素(シクロヘキサン、トリエチルアミンのエチル基、アセトンのメチルなど)は1つの信号にまとめ、選択時に該当する原子をすべて強調します。無置換ベンゼンでは、等価な6つの芳香族水素を1つの6H一重線として示し、CSVにも6原子のIDを記録します(置換ベンゼンにはこの統合を適用しません)。等価性の判断はBrukerのNMR入門資料(大学公開PDF)を参考にしています。
tert-ブチル基:立体指定や同位体指定のないtert-ブチル基では、等価とみなした3つのメチルを1つの9H信号にまとめ、信号から3原子をまとめて強調し、CSVにも3原子のIDを記録します。9H一重線にはtert-ブチルエステルの実測報告を参考にしています。
イソプロピル基:単純なO–CH(CH₃)₂では、2つのメチルが同じ中心シフトと分裂を持つ場合、1つの6H二重線にまとめます。メチンの七重線とのJ値は同じ例示値を使い、選択時には2つのメチル炭素を強調します。イソプロピルエステルの実測例や実測報告に6H二重線と1H七重線が報告されていますが、J値やシフトの実測精度を校正したものではありません。
芳香環:縮合のないベンゼン環の水素は、オルト(7.6 Hz)とメタ(1.8 Hz)の結合で分裂します(dd、t、ddなど。パラ位の結合は無視し、対称で等価な水素の間は分裂しません)。シフトが近く、一次近似では読めない環(トルエン、パラ二置換のAA'BB'など)は、環の水素のスピン系(オルト7.6、メタ1.8、パラ0.7 Hz)を量子力学で正確に計算した多重線(m)で示します(シフトは概算なので、形は目安です)。芳香環が1つの分子では、ベンジル位のCH₃・CH₂・CHの水素と環の水素の結合(オルト−0.7、メタ+0.4、パラ−0.6 Hzの例示値)も、このスピン系に含めます(スピンが8個までのとき)。
非環状アルケン:二重結合の配置から、trans(15.5〜17 Hz)、cis(10〜10.5 Hz)、geminal(1.5 Hz)、隣の飽和炭素の水素(7 Hz)、二重結合の反対側の炭素に付く飽和炭素の水素とのアリル結合(1.5 Hz)で分裂します(dd、ddt、dqなど)。末端の=CH₂は、置換基に対してcisとtransの2つの水素に分け、別々の1H信号として示します。アクリル酸エステルのようにビニル水素のシフトが近く、一次近似では読めない系は、二重結合の水素と隣接・アリル位の水素のスピン系を量子力学で計算した多重線(m)で示します。二重結合の配置(E/Z)は、描いた構造から決めるため、配置が未指定の1,2-二置換アルケンは、E(trans)を仮定して分裂を示し、警告を出します(Zを描けばcisになります)。
19Fと31Pとの結合:Fとリン(P)は観測しない核として、水素の線に二項係数の分裂を重ねます(H–C–Fは47.5 Hz、H–C–C–Fは24 Hz、CF₃の隣は9 Hz、芳香環のオルト8.5・メタ5.7 Hz、P(=O)のH–C–Pは15 Hz、H–C–O–Pは7.5 Hzなど。いずれも例示値)。Fをもつアルケンの水素は含めません。塩素・臭素・ヨウ素・ケイ素・硫黄は分裂させません。
一般のスピン系:上の規則で読めない水素(置換した環、縮合環やヘテロ環の芳香環、アルデヒド、環の中のアルケン、立体中心の隣のCH₂、シフトが近い鎖など)は、隣り合う炭素の水素(最大10個、シフトが近い隣から順)を含むスピン系を量子力学で計算した多重線(m)で示します(J:鎖7、環6.5、アルデヒド2、芳香環のオルト7.8〔ヘテロ原子の隣4.8、5員環は3.5前後〕・メタ1.5 Hz。入りきらない隣の水素は一次近似で重ねます)。隣のシフトがJの10倍以上離れていればd・t・qなどの名前をつけ、隣に水素がなければ一重線とします。立体中心の隣のCH₂は、2つの水素を等価と仮定します(警告を出します)。置換シクロヘキサンの環の水素は、画面の「置換環の厳密計算(試験・数秒)」で、椅子形(置換基は赤道)のスピン系を計算できます。
飽和の単環:配座が速く反転する飽和の単環(5〜7員環。環のすべての原子がCH₂・C=O・O・S・Nのもの。シクロヘキサノン、ラクタム、ジオキサンなど)のCH₂は、等価な隣だけなら一重線、隣り合うCH₂とは平均J(約6.5 Hz)の一次近似で分裂します(実際は軸・赤道の違いで複雑な多重線になることが多く、形は目安です)。
一置換シクロヘキサンの試験機能:「置換環の厳密計算(試験・数秒)」をオンにすると、対象となる環の水素11個を、置換基が赤道位の椅子形として計算します。既定はオフで、計算には約2〜3秒かかります。C1–Hはtt、環のCH₂はmで示します。軸・赤道のシフト差とJ値は例示値で、実測との一致は未評価です。置換基側の水素との結合、配座平均、二置換以上の環、およびメチルシクロヘキサンなど置換基が水素を持つ炭素の構造は対象外です。強く結合したCH₂の線を炭素ごとに割り当てる部分は近似です。
推定しないもの:共役ジエンの内側の水素などです。ジアステレオトピックな水素の区別、遠隔結合の多く、配座の平均、Br が結合したヘテロ芳香環など計算の学習にない環境の個別のシフトも考慮していません(規則がない環境のシフトは広い範囲の中点になり、同じシフトの水素の間の結合は線に現れません)。分裂を推定しない信号は、次の項のように表示します。
分裂を推定していない信号の表示
分裂を推定していない信号は、細い一重線に見せないよう、位置と面積(水素数)だけを、幅 約14 Hz の幅広い一本の線で、スペクトルに描きます(実際は多重線です)。表の分裂の欄には「分裂未推定」と出ます。
スペクトルの拡大
マウスでは、スペクトル上を横にドラッグするとその範囲を拡大します(拡大中にShiftを押しながらドラッグすると表示位置を動かせます。Ctrlを押しながらホイール、またはトラックパッドのピンチでも拡大・縮小できます。ダブルクリックまたは「全体表示」で元に戻ります。タッチ画面では、同じ場所を素早く2回タップしても戻ります)。スマートフォン・タブレットでは、2本指のピンチで拡大・縮小し、拡大中は1本指のドラッグで表示位置を動かせます。「拡大」「縮小」「選択信号を拡大」のボタンでも操作でき、目盛りは表示範囲に合わせて細かくなります。信号の線を押すと従来どおり選択できます(ドラッグの直後の1回だけは選択になりません)。
¹³C NMR概略予測(試験版)
中性・閉殻の低分子を描いた後に「構造・解析 → ¹³C NMR概略予測(試験版)」を選びます。気相で計算したTMS基準の化学シフト・298 K・プロトンデカップルを仮定し(溶媒補正なし)、炭素ごとの化学シフトの目安の範囲とその中点、結合している水素の数、帰属を示します。信号または表の行から該当する炭素を強調でき、帰属表をCSVで保存できます。周波数と線幅は模式図の表示条件です。
これは構造からの概略予測で、実測のスペクトルではありません。構造同定や分析結果の判定の根拠には使わず、実測値や信頼できる文献と照合してください。
化学シフトの求め方
中心は、オフラインで行った量子化学計算(B3LYP/6-31+G(d,p)、GIAO、気相)で得た2,480分子・16,191炭素のデータから、炭素の環境に対する回帰で求めます。構造は機械学習ポテンシャル(UMA)で求め、初期の438分子は配座平均、追加分子は選んだ単一配座を使いました。値は同じ計算水準で求めたTMSの炭素を基準にし、全体の実測スケーリングや溶媒補正はしていません。Cl・Br・I・F・S・P・Siの近くには、元素、結合距離、炭素の種類などによって、実測との比較から決めた局所補正を加えます。実測データの大半は実験条件の記載がなく、補正表の区画選択と値の推定にも同じデータを使っています。独立した別の実測での確認はまだありません。範囲は表示上の目安で、実測値を含む確率を示しません。
炭素は、分子の対称性で等価なものを1つの信号にまとめます(強度は炭素数に比例した模式で、NOEや緩和の違い、水素との結合は考慮しません)。
信頼度と、予測できないもの
表の「信頼度」は、学習データに近い環境かどうかの目安です。学習データの少ない環境は「低」、学習データにほとんどない環境は「外挿」と表示し、範囲を広げます。Br・Iの近くや、同じ炭素にClが複数ある場合も「低」と表示します。F・S・P・Siなどの近くで実測との差が大きい種類の炭素(チオフェンのSの隣など)も「低」として範囲を広げます。塩化ビニル型、クロロホルム、Pに結合した芳香環やC=O型などでは、なお大きくずれる場合があります。B・Seなど、学習にないほかの元素の2結合以内の炭素は「外挿」です。荷電種・ラジカル・ポリマー・反応式は対象外です。
NMRの溶媒・不純物ピークの重ね表示
¹H・¹³C NMR概略予測の画面で「溶媒・不純物のピークを重ねる」を選ぶと、実測のスペクトルにいつも現れる重水素化溶媒の残留シグナル、溶媒中の水、よく混入する不純物(アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、ヘキサン、グリースなど)の位置を、予測のスペクトルに重ねて表示します。実測のスペクトルと見比べて、「この信号は溶媒や不純物ではないか」を確かめる用途です。
選べるもの:溶媒(CDCl₃、DMSO-d₆、アセトン-d₆、CD₃OD、C₆D₆、D₂O、CD₃CN、CD₂Cl₂、THF-d₈)と、表示する項目(溶媒の残留と水/+よく混入する不純物/+すべての不純物)。既定は非表示です。線にマウスを載せると名前と値が出ます。狭い画面ではラベルを出さず、「重ねたピークの一覧」で文字として確かめます。スペクトルを拡大すると、拡大した範囲の線だけが残ります。
予測との関係:予測の計算は変わりません。¹H NMRの予測条件も、¹³C NMRの気相計算・TMS基準も、溶媒の選択では変わりません(溶媒による化学シフトの違いは含みません)。重ねた線は、選んだ溶媒中の文献値です。
限界:ピークの位置は、濃度・温度・pH・共存する物質で動きます。OH・NH のシグナルと水は、特に大きく動きます(点線を細かくして示します)。文献の値は 298 K のものです。表にない溶媒・不純物は表示できません。
出典:Fulmer, G. R.; Miller, A. J. M.; Sherden, N. H.; Gottlieb, H. E.; Nudelman, A.; Stoltz, B. M.; Bercaw, J. E.; Goldberg, K. I. Organometallics 2010, 29, 2176–2179(補足資料の表。Gottlieb, H. E.; Kotlyar, V.; Nudelman, A. J. Org. Chem. 1997, 62, 7512–7515 の溶媒・不純物を含み、一部の値を訂正したもの)。数値だけを使っています。
¹⁹F・³¹P NMR概略予測(試験版)
Fまたはリンを含む分子の、¹⁹F NMR(基準 CFCl₃)と³¹P NMR(基準 85% H₃PO₄)の化学シフトを、範囲つきで示します。メニューの「構造・解析」から開き、「核」で¹⁹Fと³¹Pを切り替えます(Fを含む分子は¹⁹F、リンだけを含む分子は³¹Pで開きます)。画面の作りは¹³C NMRと同じで、スペクトルの模式図(プロトンデカップルの一重線。面積は原子数に比例)、信号の表、構造図との対応、拡大、CSV保存があります。
求め方:量子化学計算の結果と実測から作った回帰で、化学シフトの中心を求めます。実測は、NMRexp(Wang & Zhu、2025。CC BY 4.0。論文の Supporting Information から集めた、CDCl₃で測った約98,000信号。DOI 10.5281/zenodo.17296666)で、これに、自分の量子化学計算(B3LYP-GIAO/6-31+G(d,p)。UMAで緩和した構造)の疑似データを加えています。回帰の特徴は、Fのまわりの原子の種類と数、Fが付いた炭素と隣の炭素のFの数、芳香環のオルト・メタ・パラ位の置換基です。³¹Pは、NMRexpの³¹P(CDCl₃で測った約21,000信号)だけから作った回帰で、Pのまわりの原子の種類と数、電荷、環の大きさから化学シフトの中心を求めます(量子化学計算は加えていません)。範囲は、環境ごとに、分子単位の交差検証の誤差から決めた幅です。等価な原子は1つの信号にまとめます。
信頼度:実測が少ない環境、実測の分布が広い環境、学習に使ったデータにない環境(一般の範囲を使ったもの)は、信頼度を「低」と表示します。³¹Pで学習にない環境(トリアルキルホスフィンなど)は、範囲を±40 ppmに広げて「低」にします。範囲は、確率的な信頼区間ではありません。
限界:結合定数と多重線(¹H・¹⁹F・³¹Pとの結合)は示しません。溶媒・温度・濃度の効果は含みません(CDCl₃の値を基準にしています)。¹⁹Fは、小さなアルキルフッ化物(CH₂F、CHFなど)、ポリフッ素化したベンゼン、環のパラ位にアミノ基・ニトロ基など強い電子供与・求引基をもつフルオロベンゼンで、範囲の外になることがあります。炭素以外に付くF(N–F、O–F、S–F)は実測が少なく、範囲が広くなります。³¹Pは、P(V)=O(リン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィンオキシドなど)は比較的よく合いますが、P(III)(ホスフィン、亜リン酸エステル)とP=X(イリド、イミノホスホランなど)は外れやすく、トリアルキルホスフィン(PMe₃、PEt₃など)は学習のデータにないため数十 ppm 外れます。ホスホニウム塩と金属錯体も、学習がほとんどなく外れることがあります。ホウ素・ケイ素・セレンなど、ほかの核、荷電種、ポリマー、反応式は対象外です。構造同定の根拠には使わないでください。
UV-Vis吸収スペクトル概略予測
中性・閉殻の低分子を描いた後に「構造・解析 → UV-Vis吸収スペクトル概略予測」を選びます。一般的な溶液を想定し、吸収帯の波長の目安とその範囲、モル吸光係数 ε の目安の大きさ、帯の種類(π→π*、n→π*)、信頼度を表に示し、帯を模式的なスペクトルに描きます。帯や表の行を選ぶと、その帯に関わる原子(共役した π 系、またはカルボニルなどの発色団)を構造図で強調します。帯の表をCSVで保存できます。
これは構造からの概略予測で、実測のスペクトルではありません。構造同定や分析結果の判定の根拠には使わず、実測や信頼できる文献と照合してください。溶媒や置換基の細かな効果、振電構造(吸収帯の細かな山)は含みません。
ニトロベンゼン、ニトロフェノール、ニトロアニリン、ニトロアルカンなどにも対応します。ニトロ基のN⁺・O⁻は中性分子の一部として扱います。学習・確認した分子は限られ、特に強い電荷移動を伴う帯の位置は大きくずれる場合があります。
臭素・ヨウ素を含む分子に対応します。臭化・ヨウ化アリールではπ→π*、π系のない臭化・ヨウ化アルキルではn→σ*の帯を表示します。確認できた実測は少なく、n→σ*は短波長側に、ヨードベンゼンの弱い帯は長波長側に大きくずれる場合があります。
見方
縦軸は、既定では ε の対数です。n→π*(カルボニルなどの孤立電子対からの遷移)の帯は、π→π* の帯に比べて数百分の一から数千分の一と弱く、線形の縦軸では見えないためです。「ε(線形)」に切り替えると、強い帯の形を見やすくなります。波長の範囲(200〜500 nm、200〜400 nm、200〜800 nm)も選べます。スペクトルは、マウスで範囲をドラッグすると拡大でき、スマートフォンやタブレットでは2本指のピンチでも拡大・縮小できます。
予測のしかた
約1,000分子について、オフラインで行った量子化学計算(TD-DFT、CAM-B3LYP/6-31G(d)、気相、機械学習ポテンシャル(UMA)で求めた配座)の吸収帯から、構造の特徴(共役した π 系の大きさと電子的な性質、供与基・受容基、カルボニルなどの発色団の種類)と吸収帯の関係を学習したモデルで求めます。気相の計算を、公開されている実測の帯の位置との比較で補正して、溶液の目安にしています。弱い帯の強さも、少数の実測帯との比較で調整しました。2番目の強い帯は位置を推定しますが、強さはより大まかな目安です。範囲は、予測の不確かさを表す目安幅で、確率的な信頼区間ではありません。
信頼度と、予測できないもの
表の「信頼度」は、学習した分子にどれだけ近い構造かの目安です。学習した分子と少し違う構造は「低」、大きく違う構造は「外挿」と表示し、範囲を広げます。学習した分子は小さなものが中心なので、重原子が14個を超える分子(スチルベンなど)は、帯の位置や強さが大きくずれることがあります。Br・Iを含む分子も計算して学習していますが、対象の分子は少なく、帯の位置や強さの不確かさは残ります。共役したπ系もカルボニルなどの発色団もない臭化・ヨウ化アルキルには、n→σ*の帯を1本表示します。これらの発色団もC–Br・C–I結合もない構造では、帯を表示しません。200 nm より短い波長の吸収は、予測の対象外です。ニトロ基の内部電荷を除く荷電種・ラジカル・金属錯体・ポリマー・反応式は対象外です。
物性の目安
メニューの「構造・解析」から「物性の目安」を開くと、描いた構造の物性を、3種類に分けた表で示します。計算はすべて端末内で行い、外部へ送信しません。
計算値:分子式、精密質量、分子量、不飽和度、元素組成(質量%。元素分析の計算値)、重原子数、環の数、芳香環の数、回転可能結合数、立体中心数。構造から決まる値です。
概略:logP(オクタノール/水)、logS(水への溶解度)、極性表面積(TPSA)、水素結合の受容体数・供与体数。OpenChemLibの見積もりで、実測とずれることがあります(特にニトロ基、長い炭化水素鎖、塩基性アミン)。
目安:Lipinskiの4項目(分子量≦500、logP≦5、供与体≦5、受容体≦10)とVeberの2項目(TPSA≦140、回転可能結合≦10)。経口の医薬の吸収の経験則で、医薬でない化合物には意味が薄い判定です。
pKaの目安:構造から官能基(カルボン酸、フェノール、アルコール、チオール、アミン、ピリジン、イミダゾール、1,3-ジカルボニルなど)を見つけ、官能基ごとの典型的なpKaの範囲(水中・25 ℃)を示します。計算ではなく表引きで、置換基の効果は含めません(電子求引基があるカルボン酸、フッ素化アルコール、モルホリン型、2-ハロピリジン、4-アミノピリジンは別の区画にしています)。表の行を選ぶと、その官能基の原子を構造図で強調します。グアニジン、アミジン、スルホンアミド、ジアジン、テトラゾール、縮合した複素環、第二以降の解離は、参照表に水中の値がないので対象外です。
対象外:荷電種(全体の電荷が0でないもの)、ラジカル、ポリマー、反応式、重原子が100個を超える分子。電荷が分かれた表記(ニトロ基など)は、全体が中性なら受け付けます。表はCSVで保存できます。構造同定や安全性の根拠には使わないでください。
出典:pKaの範囲は、D. H. Ripin, D. A. Evansのpka表(水中の値。ACS Organic Division提供、2024年4月16日更新)に水中の値がある代表的な化合物から作りました。logP・logS・TPSAは、同梱のOpenChemLib(BSD-3)の計算です。
予測画面の大きさ
IR、EIマススペクトル、¹H NMR、¹³C NMR、UV-Visの予測画面は、画面の幅が広いときに、右上の「標準」「大」「最大」で大きさを変えられます。「大」は幅を広げ、「最大」は画面いっぱいに広げます。スペクトル、目盛り、表の文字は、画面が大きいほど大きく表示されます。選んだ大きさは、この端末のブラウザーに記憶され、5つの予測画面で共通です。画面の幅が900ピクセル以下では、ボタンは表示されません。幅が1800ピクセル以上の画面で、まだ選んでいないときは、「大」で開きます。
HOMO・LUMOの簡易計算
分子を1つ描き、「構造・解析 → HOMO・LUMO(簡易計算)」を選びます。水素を加えた3D配座を1つ作り、この端末内でRHF/STO-3Gの軌道計算を行います。計算中は「3D構造の作成」から「3D表示の準備」までの段階、各段階の所要時間、分子の大きさや反復計算の情報を表示します。収束バーはエネルギー差に基づく目安で、残り時間や反復回数を保証しません。積分の計算中は途中経過を表示できません。「計算を中止」で止められます。
結果画面ではHOMO・LUMOのエネルギーと3D形状を確認できます。「HOMO・LUMOの見方(はじめての方へ)」に用語・色・操作の説明があります。青と赤は軌道の波の符号(位相)の違いで、電荷の正負を示しません。ビューアーの詳細パネルは最初は閉じており、「詳細パネルを開く(上級者向け)」から表示できます。配座や計算法によって結果は変わり、特にLUMOとギャップの値は参考値です。ギャップは実験的な励起エネルギーではありません。大きな分子は長くかかる場合があります。メモリー不足による停止を避けるため、簡易計算の上限はPC画面で140基底関数、モバイル画面で100基底関数です。計算処理と3D表示は端末内で行われ、分子データは計算サーバーへ送信されません。
画像
SVGは拡大できる画像です。PNG・SVGの背景は白または透明を選べます。生成した画像の確認画面で保存リンクを選んでください。出力後は結合、立体表示、文字の欠落がないことを確認してください。PDF・JPEG・CDXの書き出しはありません。
描いた構造の履歴
履歴ボタンで、描いた構造の一覧を開きます。手を止めて約1.5秒で保存し、同じ構造の編集中は同じ項目を更新します。項目を選ぶと開き直せます。名前の変更、固定、検索、削除、履歴全体のJSON書き出し・読み込みができます。削除は確認のため2回押します。
履歴は最大100件をこのブラウザーのIndexedDBだけに保存し、外部には送信しません。上限を超えると固定していない古い項目から削除します。固定が100件に達したら、固定を外すか削除してから新しい構造を保存してください。空のキャンバスと予測画面の設定は保存しません。端末間では同期せず、ブラウザーの閲覧データを消すと失われます。大切な履歴はJSONで書き出してください。終了直前の編集は保存が間に合わない場合があります。シークレットモードや保存容量不足では利用できないことがあります。
ファイルメニューで自動保存を消去した後は、ページを再読み込みするまで履歴への保存も停止します。
利用上の注意
描画結果、形式変換、IR・EI-MS予測、¹H NMR概略予測、¹³C NMR概略予測、HOMO・LUMOの簡易計算結果は利用者が確認してください。構造の妥当性や分析結果の判定を保証するツールではありません。実測スペクトルとの比較やラマン予測は提供しません。
利用条件とライセンス · サイトのプライバシー · ご意見・不具合の報告
表示言語(日本語/English)
ヘッダーの「EN」ボタン(幅の狭い画面では「ヘルプ」メニューの「English / 日本語」)で、画面の言語を日本語と英語で切り替えられます。選んだ言語はこのブラウザーに記憶されます。初めて開くときは日本語です。英語の表示には、使い方ページとライセンスページも含みます。
英語の文は、日本語の文を元にした訳です。化学の用語や予測の注意書きは、必要に応じて原文(日本語)と照合してください。
質量・同位体・アダクト
「構造・解析 → 分子の情報 → 質量・同位体・アダクト…」で、組成式、単一同位体質量、平均分子量と同位体パターンを計算できます。EI-MSの予測とは別の画面です。17種のアダクトのm/zを電子の質量を補正して一覧します。アダクトの出やすさや強度は予測しません。必要な原子が足りない脱離は一覧に出しません。
対応元素はH・Li・B・C・N・O・F・Na・Mg・Al・Si・P・S・Cl・K・Ca・Fe・Se・Br・Iの20元素です。Cu・Znなど表にない元素や同位体では計算できません。指定した同位体は、その同位体だけとして扱います。電荷のある構造は描いた電荷のイオンとして計算し、アダクトは出しません。複数の分子があると全体の組成式を使います。
同位体パターンは理論値、分解能5,000・30,000(既定)・100,000を選べます。近いピークをまとめる近似で、実機の波形を再現するものではありません。原子数が150を超える組成の理論値は分解能100,000に簡略化します。相対強度0.01%以上を対象に、最大200本を表示します。ppmの許容誤差の範囲を確認でき、表示したパターンをCSV保存できます。計算はこのブラウザー内だけで行い、構造を送信しません。
機能の検索(Ctrl+K/Cmd+K)
ヘッダーや狭い画面の「機能を検索」ボタン、またはCtrl+K(MacではCmd+K)で、メニューの機能を名前・説明・メニュー名・同義語で検索できます。候補を選んでEnterで実行します。使えない機能は理由を表示し、実行しません。
IRの表の行やピークを押すと、その帯の主な原子・結合を描画で選択します。振動全体の表示ではありません。水素が描かれていない場合は水素のついた原子を選びます。対象がない帯では、それまでの選択を保持します。複素芳香環は種類ごとの最初の環、同じ種類のC–X結合はすべてが対象になる場合があります。
IRのピークまたは表の行を選ぶと、対応する主な原子・結合を、この画面の構造図とキャンバスで強調します。構造図はスペクトルの横に表示し、幅700px以下では下に表示します。スペクトルと構造図はスクロール中も上部に残りますが、高さ560px以下では固定しません。振動全体ではなく主な部位を示します。